- 物流業界のトレンドは
- 物流業界は何を求められているのか
- 物流企業のトップランナーはどんな取り組みをしてるのか
- 転職希望者が面接で使える最新ニュースを教えてほしい
物流業界へ転職を考えている人は、物流業界の最新トレンドを理解しておくべきです。
なぜなら、お客様のニーズに応えようとしている企業は必ず取り組んでいることだからです。
「世の中の流れに沿って新しい取り組みをしている」
「最新技術への意識が高い」
「環境問題への取り組みをしっかり行っている」
こんな企業へ転職を推奨しています。
紹介する3つのトレンドは、下記の通りです。
- ネットショッピング市場拡大
- デジタル化推進
- 環境問題への取り組み
このトレンドに乗り遅れず差別化できている企業が強いです。
転職者にとって企業選びの指針。
求人情報に載っていなければ、採用活動で確認すべき内容です。
物流業界は「ネットショッピング市場」拡大中
読者の皆様も1度はネットショッピングをした経験があると思います。
スマートフォンの普及で誰でもお気軽に買い物を楽しめるようになりました。
AMAZONや楽天、ヤフーショッピングやメルカリなどオンラインストアは数多くあります。
店舗に行く手間が減り、値段の比較も簡単。
値段が安価の場合も多く、支払いも容易に済ませて早くて翌日には手元に届きます。
さらに、コロナウィルスの追い打ち。
おうち時間が増え、ネットショッピング需要は加速しました。
宅配便取扱個数は右肩上がりで上昇中
(参考)令和3年度宅配便等取扱実績関係資料
令和元年(2019年)~令和3年(2022年)で宅配便個数は6億3000万個増加しています。
約14%の増加。
完全な右肩上がりです。
株価であれば最高。
AMAZONや楽天、メリカリなどのオンラインストアは様々な商品を提供しています。
店舗を持つ企業も自社のオンラインストアサービスを提供。
消費者は自宅やオフィスから容易にショッピングができ、時間と労力を大幅に節約できます。
ネットショッピングの方が安価である場合も多く、価格の比較もしやすい。
ネットショッピング市場拡大に対する物流企業の課題
ネットショッピング市場拡大に対応するために、物流企業には課題が3点あります。
- 注文から発送までのスピード
- 配送料金の設定
- 需要に応じた適切な在庫確保
注文から配送までのスピード
昨今宅配スピードへのニーズが高まっています。
値段が少し高くても早く着く方を選ぶ!
到着が遅いとモヤモヤする。。
即日発送が当たり前になってきています。
企業にとって、いかに早く届けられるかが差別化ポイント。
値段に差をつけて配達日時を調整するなど工夫が必要です。
一方で梱包や流通加工などの作業工程が多いため、人員や適切なシステムが必要。
正確かつスムーズに発送するために仕組みを構築しなければいけません。
配送料金の設定
ネットショッピング市場拡大と反比例してドライバー不足が懸念事項です。
ドライバーを集めるためには、料金の値上げが必要。
しかし、消費者は発送手数料をシビアに見ます。
効率的な配送を意識しながら、ドライバーと消費者が納得のいく料金設定をする必要があります。
需要に応じた適切な在庫確保
在庫を必要量抱えておくこと、在庫数を適切に管理することは非常に重要です。
注文に対し即発送作業に移れる様在庫の確保は不可欠。
多ければ良いというわけではなく、適切な在庫を見極める必要があります。
各担当者が連携を密にして、ずれが生じない様仕組化が大事です。
需要に応じて倉庫スペースの拡大を検討することも必要。
今後2024年問題への対策もする必要もあります。
物流業界のデジタル化推進
物流業界のデジタル化は国をあげて進めています。
次のレベルの効率性・正確性・コスト削減に取り組む
- 自動配送ロボット
- 書類の電子化
- 倉庫作業の自動化・機械化
- ドローンを活用した配送
- 海上輸送の自動化
- トラックの隊列走行
ネットショッピング市場拡大で人で不足が懸念されているなか、デジタル化による解決はアプローチの1つです。
物流企業がお客様のニーズに応えるため、他社と差別化するためにデジタル化は不可欠。
具体的に企業がどのような取り組みをしているか紹介します。
【佐川急便】自律走行搬送ロボットを導入して業務効率化
佐川急便はこれまでもロボットを使ってモノの自動仕分けをしていたが、特定の形以外のモノは人手に依存していた。
完全自動化のためには臨機応変に対応できるロボットの開発が必須。
㈱レックスプラスとタッグを組み、自律走行搬送ロボット開発に成功。
人とロボットが同じ導線上で働く仕組みを構築しました。
モノの形に左右されることなく、ロボットの稼働区域でオペレーションの自動化に成功。
省人化と業務効率化により、労働環境と労働不足の改善を進める。
【澁澤倉庫】サブスク型の物流ロボを導入して省スペース化
澁澤倉庫は無人搬送ロボットと立体型ロボットを組み合わせた仕分けロボットを導入しました。
澁澤倉庫は機器を設備に固定せず、サブスク型のサービスを利用。
設備を固定しないことが豊かな発想を生み、他社との差別化につなげることができる。
仕分けロボットを導入し、従来比57%の省スペース化を実現。
生産性を向上させました。
作業者の歩行距離も大きく削減し、労働環境を改善させました。
澁澤倉庫は「完全自動化は物流の最適解とは限らない」の考えを持ち、ロボットと人の協働を目指しています。
【日立物流】AIフォーク導入で積み下ろし自動化
日立物流は4社と共同し、AIフォークリフトの実用化を目指している。
実用化すれば、下記4点が期待できます。
- 物流施設内の省人化
- 輸送の効率化
- トラックの待機時間短縮
- エネルギー消費の削減
経済産業省は「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金」を公募していて、デジタル化を後押ししている。
ドライバーやフォークリフト運転者不足の改善、環境問題への取り組みにも期待できます。
物流企業は企業間共同でデジタル化が不可欠
3社の事例で共通しているのは、決して自社だけで完結していないこと。
1社でデジタル化を進めても限界があります。
他業界と競合他社に関わらず、手を取り合っている企業がトップを走っています。
デジタル化は①ネットショッピング市場拡大と、後述する②環境問題に大きく関係があります。
①ネットショッピング市場拡大
- 発送作業を迅速に行える
- 省力化が見込める
- 新しいサービスを生み出せる
②環境問題
- 配送作業効率化による待機時間短縮
- ペーパーレス化
- 効果的な配送計画の提案
転職希望者は志望企業のデジタル化への取り組みを要チェック
転職希望者は企業研究又は選考中に、志望希望のデジタル化への取り組みをチェックしてください。
物流企業のデジタル化は二極化しています。
最新技術を積極的に取り入れていこうと考えている企業と、
熟練者の経験に頼って属人化している企業に分かれています。
先述した通り、進んでいる企業は企業間でタッグを組んで革新的な取り組みを目指しています。
社外のパートナーと技術交換し、外部の知見を活かし、自社の業務改善を進めようとしている企業。
こんな企業が今後お客様に選ばれていくので、転職希望者も選んでほしいと思います。
物流業界の環境問題への取り組み
物流業界は環境に配慮したサービスの提案を求められています。
具体的な取り組みは、下記の通りです。
- モーダルシフト
- 輸送の効率化
- 電気車両の導入
- 天然ガスやハイブリット車の導入
- リサイクルしやすい容器・梱包材の使用
最も重視すべきなのはCO2の排出量。
国土交通省は「モーダルシフト等推進事業」を立ち上げ、
効果的なモーダルシフトへの取り組みを計画した事業に補助金を出している。
【日立物流】モーダルシフトでCO2排出量71%減
モーダルシフトとはトラックなどのモノの輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶への利用へ転換すること。
日立物流はモーダルシフトのお手本のような取り組みをして評価されています。
関東~九州間の輸送において、従来はトラックで行っていたが、環境負荷が大きいこととドライバー不足に課題がありました。
港から拠点までの輸送はトラック、それ以外の輸送は全て船舶の使用に変更。
下記のメリットをもたらしました。
- 配送トラック台数を79台減
- CO2排出量が従来比71%減
- 1運行当たりの運転時間は19時間減の4時間に短縮
モーダルシフトは少量輸送から大量輸送に切り替える場合が多い。
必然的に労働力不足軽減に繋がります。
【大王製紙G】サントリーと共同で輸送効率化
環境問題へのアプローチとして、「いかに無駄な輸送を減らせるか」を考えることが大切です。
コスト面でもお客様へのより良いサービスのためにも、配送手配者は意識して取り組むべき。
企業内で輸送効率化を考えても限界があります。
企業間で連携できれば選択肢は大きく増えます。
大王製紙グループとサントリーグループはタッグを組んで長距離輸送の効率化を実現させました。
関東~関西間で両社の製品を混載。
積載率の向上や輸送効率化を進め、CO2削減を実現させます。
- ドライバーの運転時間2,062時間削減見込み
- CO2排出量115トン削減見込み
鉄道の共同輸送も実施予定で、さらなる効果を狙っています。
【商船三井】船舶にプラスチックごみ回収装置を搭載
物流企業に求められる環境対策はCO2削減だけではありません。
輸送に使用する資材は大量の廃棄物になり、環境への負荷に直結。
特にプラスチックなどの不燃性素材はその処理が課題となっています。
世界全体で日々発生する海洋プラスチックごみは、長期的に海に残存。
地球規模で環境汚染が懸念されている。
商船三井はマイクロプラスチック回収装置を搭載船舶を導入しました。
1隻に当たり年間数万個の回収量を見込む。
商船三井は企業理念の一つとして、海洋・地域環境の保全に努めることとしています。
船舶を活用したマイクロプラスチック回収の先駆けとして、SDGs達成に向け貢献しています。
環境問題への取り組みは物流企業の義務
転職希望者は志望企業がどのような環境への取り組みをしているか確認すべきです。
物流業は環境に与える影響は大きい。
持続可能な社会の貢献や地球環境の保護は、企業の社会的責任として重要視されています。
ここからは環境問題の取り組みと、企業利益の調和を図る企業が生き残ります。
持続可能な技術の開発・導入は、企業と個人の両面で成長できる。
社員の健康やワークライフバランスにも配慮していることが多いです。
企業研究や面接などで積極的に確認し、入社の検討内容にして頂きたいです。
さいごに
物流業界のトレンドを3点紹介しました。
- ネットショッピング市場拡大
- デジタル化推進
- 環境問題
ネットショッピング市場が拡大していることで、お客様のニーズが多様化しています。
- 発送スピード
- 料金設定
- 在庫確保
このニーズを応えるためには、デジタル化が不可欠です。
- 自動化・機械化
- 人件費削減
- 状況のリアルタイム把握
- 人件費削減
デジタル化は社員の働きやすさにも繋がります。
さらに環境問題への配慮も求められます。
- CO2削減
- ごみ問題
- 輸送の効率化
この3点を追い求めることは、企業利益に相反するものではありません。
お客様の満足と社員満足、そして環境問題への配慮を追い求める企業が生き残ります。
皆様にはそんな企業を見極め入社してほしい。
この記事がその一助になれば幸いです。